Categoryエッセイ 1/1

病院食は父親の味(父の日に寄せて)。

 私が初めて入院を経験したのは小学6年の時だった。心臓病の発見は小学4年の時であったが、約2年間は医者の目に触れることはなかった。そこには劣悪な家庭環境が背景にあり、学校から専門医の診察を受けるよう注意を促されていたにも関わらず、父はみて見ぬ振りを決め込んでいたのである。 労働意欲の全くない父は、明るい内から酒を飲み顔が夕日に染まる頃には、赤い顔を更に赤くして酔いどれていた。経済力も健康保険証もな...

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いじめっ子には怖いサンタがやって来る。

 クリスマスソングは非常に多く教会などでは「もろびとこぞりて」「きよしこの夜」などが代表的。場所を変えて街やTVで聞こえてくる曲はクリスマスイブ(山下達郎)、クリスマスキャロルの頃には(稲垣潤一)、恋人はサンタクロース(松任谷由実)、ハッピークリスマス(Jレノン)等。 人それぞれ思い出の曲があり、イブの晩に失恋してしまったりとほろ苦い経験を持っている人もいるだろう。 私のお気に入りは佐野元春の「ク...

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電磁波アラカルト。

 世の中がまだアナログ中心で動いていた時代、リモコン付きテレビが登場すると「便利な世の中になったものだ」と誰もが口を揃えて言った。音楽を歩きながら楽しんだり、どんな場所からでも電話やメールを送れるなど、人間を取り巻く生活環境は大きく変化し、そしてテレビはアナログ放送からデジタルへと飛躍的に姿を変えた。 人間にとって都合よく進化し続ける現代社会であるが、その裏には眼に見えないリスクが多く潜んでいる。...

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戦争と平和の狭間で(終戦の始まり)。

 終戦70年の節目を迎え、各地で戦争の無意味さと平和の尊さを訴える催しが行われている。年を重ねる毎に戦争を知らない世代が増え、平和の定義も細分化され始めている。日本は原爆を二つ落とされ最悪な結果を招き、その数日後に無条件降伏した。厚木基地に降り立ったマッカーサーはパイプを誇らしげに咥え、にんまりと微笑んだ。「此処はアメリカだ」と心で呟いただろう。そして厚木基地はアメリカのシンボルとなった。  基地...

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主婦の溜息が聞こえる、コインランドリーブルース。

 梅雨時、主婦を悩ます一つに洗濯物がある。湿気が多いので中々乾いてくれない。雨が降っていれば部屋の中に干すしかない。突然の訪問客が来たりすると慌てて洗濯物を隠したりする。バスルームに乾燥機が着いている家も多いと思うが、これ結構電気代がかかる。 家計を預かる主婦にとって、節約の種は数多くあり悩むところでもある。ガス、電気、水道とこの三つは生活になくてはならない要素。家族が多いほど洗濯の量も増え水も多...

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満天の夜を抱いて一羽のフクロウが啼く。

 それは私が小学校低学年の頃だった。実家の庭に樹齢400年をゆうに越す巨木があった。庭は広く様々な種類の草木が生い茂り、夏ともなればまるで何処かの山奥にでもいるような感覚を味わう事が出来た。 多種多様な生き物が棲息し、昆虫採集や野鳥の観察などは自分の家で遊びながら体験出来たが、一度だけとても怖い思いをした事があった。 旧家なのでトイレは別棟になっており、屋敷から10mほど離れた所にあった。夜中にト...

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Legend of The Moon(伝説の月)。

 宇宙の存在が現在ほど明らかにされていなかった遥か昔、古代人の眼に月はどのように映っていただろうか。月に纏わる話しは世界各地に散らばっており、そこの住人によって語り継がれている月の姿は様々だ。 日本では「かぐや姫」の伝説が最も有名であり、そしてまた「うさぎの餅つき」はインドが発祥地となっている。古代から人類と密接な関係にある月、子どもが産まれる確立が最も高いのが満月の時であり、潮の満ち引きも月の引...

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御巣鷹の尾根に悲しみが降る。

 うだるような暑さを片手で拭いながら、お盆休みで人影も疎らないつもの定食屋に入った。「秋刀魚定食ね」「はいよ!」常連だからお互い笑顔を交わす。「盆休みだってのにやたらと忙しくて今年は盆なしだよ」「台無しよりいいんじゃないの」冗談交じりの会話を楽しんでいた。 数分も経たない内に鉄板の上で脂の乗った活きの良い秋刀魚がジュワーっと踊り出す。「熱いから気を付けて」店長の言葉よりも早く箸を突き刺していた。 ...

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相合い傘は恋の花。

 日本列島の約半分が梅雨前線に覆われ、本格的な雨のシーズンである。南の海からは台風8号が虎視眈々と日本列島を狙っており、列島各地で記録的な豪雨が降り続いている。 そんな鬱陶しい雨の中で唯一微笑ましいのが、最近ではあまり見かけない相合傘の絵。小・中校時代はかなり流行ったと思う。教室の黒板に誰かが冷やかしで相合傘のカップルを描く。それを見た本人たちは顔を真っ赤にしながら、必死で否定したものである。 そ...

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鯉のぼりからの伝言。

 屋根より高い鯉のぼり(最近では屋根の方が高くなってしまった気もするが)。5月5日近くになると一般家庭だけでなく、様々な場所で見かける鯉のぼり。江戸時代から始まったこの習慣は、元々武家の間で男児の出世に願いを込めて家の庭先に飾られるようになった。 それが裕福な庶民にも伝わり雛人形と同様の意味を持つに至った。少子化が進む現在では、都会でのマンション暮らしの家庭が多く殆ど鯉のぼりの泳ぐ姿は見られない。...

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猫の成人式。

 成人式を迎えた二十歳の皆さん、おめでとうございます。わたしは遥か彼方に成人式は終わっておりますが、毎年この時期になると自分が二十歳を迎えた頃のことを思い出し、反省と後悔の念を抱いております。 昨今では、「荒れる成人式」と言われ成人式の会場などでは、若者の傍若無人な態度が目立ち、関係者も頭を抱えているようです。 お目出度い席でもあり、お酒なども入ったりして多少気が大きくなっていたり、多勢でやれば何...

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サンタクロースからの手紙。

 皆さん、クリスマスイヴですね。わたしは多分この記事を書き終わった後、苺のショートケーキと少しだけお酒を頂こうと思っています。さて、トナカイが不足しているためサンタクロースも悩みが多いようです。そこで今年からインターネットを通じて注文を頂き、宅配便によるプレゼントのお届けとなったようです。 何だか夢のない話になってしまいましたね。クリスマスプレゼントの思い出と言えばわたしの場合、中学の3年間を過ご...

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火災を乗り越えて、絶望からの再出発。

 今から26年前の1987年、わたしは火災により焼け出され住む所もなく路頭に迷っていた。僅か3万円の現金だけを持ち、頼る当てのないまま成り行き任せの上京から6年目の秋を迎えていた。 当時わたしは、京浜東北線のJR蒲田駅から徒歩7分程度の所にある「コーポ英(はなぶさ)」と言う鉄筋5階建てのマンション301号室に住んでいた。 大井町にある2万円の木造アパートから一気に7万円のマンションに移り、6年目の...

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