Archive2012年08月 1/1

髪を切った。

長く伸びた髪が心に絡みつくから髪を切ったううん…美容院には行かなかったわあなたが綺麗だねと褒めてくれたこの髪を他の人に切らせたくはなかっただから自分の手で挟みを入れたのあなたの思い出の分だけ伸びた髪をせめてこの手で断ち切りたかったから...

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美容師がハサミを置く時。

 わたしが散髪によく行っていた理髪店が店内改装だった為、数十年振りに美容院へ行った。20代の頃は美容院で髪をカットしてもらっていたが、この歳になって美容院へ行くのもと思ったが、良さそうな理髪店が思い浮かばず、立ち寄ったのが瑞江駅ビル内にある美容院だった。 担当は「望月君」と言ってまだ30そこそこの若者だった。 「5月に新聞社のインタビューを受けるから恰好よくカットしてよ」などと言う会話を交えながら...

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シリアに散った日本人の命。

 日本がメダリストたちの凱旋パレードに熱狂している頃、遥か彼方、最果ての地シリアで一人の女性が命を絶った。 美人女性ジャーナリストの山本美香さんである。内戦が続くシリア北部アレッポで取材活動中に銃撃戦に巻き込まれ、ほぼ即死状態だったと言う。 一人の日本人が亡くなったところで、熱狂する50万人が集まった銀座パレードの大歓声で、彼女の悲鳴は掻き消され、誰一人その地に視線を向ける事はない。 くどい様だが...

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恋の糸電話。

切れてしまったらもう二度と聞こえない恋の糸電話あなたとわたしを繋ぐ糸か細いけれどもしなやかにあなたの声が届くまでわたしは耳をそばだてる微かに聞こえるあなたの声がわたしを好きだと言ってくれるまで恋の糸が途切れぬよう願いを込めて待ってます...

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メダルが涙に濡れる時。

 7月27日に開幕し、17日間に渡って各種競技が行われたロンドンオリンピックが先日、13日に幕を降ろした。 参加国は204、約1万1千人のアスリートたちが参加し、26競技302種目に渡り熱い熱戦が連日行われ、時差の関係から日本では深夜に競技が行われる事が多く、テレビに釘付けになり寝不足に悩まされた人たちも多かったのではないだろか。 日本は、金メダル7個を含む合計38個のメダルを獲得し史上最多となり...

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百恋歌(作詞に挑戦)。

 恋愛をテーマにした曲は数多くあるが、その中でわたしが最も気に入っている歌が、高杉さと美が切々と歌う『百恋歌』である。 彼女は、映画『西遊記』のイメージソングに使われたシングル『旅人』で歌手デビュー。2007年に日本有線大賞・新人賞、日本レコード大賞・新人賞、ベストヒット歌謡祭2007新人アーティスト賞などを受賞し、新人歌手としては出来過ぎるほどの輝かしいデビューを果たした。 『旅人』はオリコンチ...

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今もそこにある戦争(終戦記念日を迎えて)。

 1945年(昭和20年)1月9日、神戸信夫(父13歳)は、自宅近くにある蓮正寺の境内で日向ぼっこを楽しんでいた。 戦時中の正月がどのようなものであったか定かではないが、食料の配給下では満足に腹を充たす事など皆無ではなかったかと思う。 藤枝では有数の資産家だった神戸家にとって見れば、戦争の影響による衣食住に困窮する事は全く無かったが、家族二人が南方へと出兵し帰らぬ人となっている。この二人の戦死は後...

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恋しぐれ。

蝉しぐれがあなたの声を掻き消していく初夏に出逢ったわたしたちまだ ほんの少しの時間だけれどネットの向こうにあなたの笑顔でも 片思いわたしはひとり恋しぐれ蝉のように儚い恋は短い命を咲かせるの...

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その頃17歳の少年は吉田拓郎に憧れていた。

 古い写真を整理していたら、火事で焼けてしまったと思われていた懐かしい写真が見つかった。1973年の夏、おそらく7、8月頃のものだろう。 壁に貼ってある写真を見れば吉田拓郎だと、わたしと同年代の人は直ぐ気付くはずである。吉田拓郎に付いては過去にも話をした事があるが、デビュー前は新宿の飲み屋で用心棒のアルバイトをしていた。 そんな暴れ者の拓郎も今は肺がんに罹り、闘病生活を続けながらもコンサート活動を...

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くちびる哀歌。

くちびるを重ね合わせるとあなたの嘘が見えて来たあなたのくちびるはいつものわたしの味でなく知らない人の味だった嫉妬の色を隠すため今日もわたしは口紅着けてあなたの嘘を塗りつぶすわたしの味が戻るまで何度も 何度も塗り返す...

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核兵器はもう要らない。

 人類最大の過ちが広島を一瞬にして焼き払った原子爆弾が投下されてから、今年で67年という歳月が流れた。 実際に原爆の犠牲者となった人たちは大量の放射能に晒されながら、現在でも生存しておられる方々も年々少なくなって来ているのが現状である。 あの日雲一つない快晴の空に銀色のB29が悪魔を連れて飛来した。広島市の朝はいつもと変わらず平常通りの通勤風景や一日の始まりに、忙しい朝を迎えていた。  夏休みを満...

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恋花火。

愛しいあなたに向けて今宵 わたしは束の間 恋花火夜空を色とりどりの絵具で染めてわたしから儚い命のメッセージが見えますかやがて消えゆく運命ならばせめて わたしの束の間 恋花火わたしの想いで今宵 あなたを焦がします...

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短編小説『冬の蛍』。

 重い瞼を開けると、靄のかかった朝が見えてきた。ベッドの傍らには父が椅子に座って居眠りをしている。 午前5時を少し回っていたが、冬の外は星が置き去りにされたまま慌てるように光っていた。カーテンの隙間から漸く覗いた朝焼けは、大きな欠伸と共にやってくる。 6畳ほどの個室にはベッドが2つ並んでおり、1つは次の客を待ちわびるように白いマットだけが寂しげだった。 「コンコン」とドアをノックする音が聞こえる。...

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