余命

 平成元年、わたしは余命一年の宣告を受けた。傍らには彼女がいたが俯いていた。聞かなかった事にしよう、何度もそう思ったが心臓は張り裂けそうだった。
 心臓とは別にわたしは冷静だった。今更命の長さを言われた所でうろたえたりはしない。長い付き合いだからそれに比べれば一年なんてと思った。
 病院の帰り道天を仰いだ。そうか今は一人じゃないんだ。人はみな空を見て天というが、何処から何処までが天なんだろうか?わたしのいるここは天じゃないのかな。別れるかしかないね・・・。
 「今度の日曜日両親に会って・・・」信じられない言葉が返って来た。両親はにこやかに受け入れた。信頼している娘が決めた事だからと任せているようだ。
 わたしは逃げたくなった。明日の命さえ約束出来ない男と結婚するだろうか?みな自分が可愛いだろう、保障された将来をみな願っているはずだ。
 結婚式の二日後、三井記念病院に入院し、一ヶ月後9時間に及ぶ心臓の大手術を受けた。薬は手放せないが生きている。生かしてもらっている。わたしの空間には天があったのだ。
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俊樹
Posted by俊樹

Comments 10

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深月  

こんばんは。
先日はコメントをありがとうございました。
奇跡が起きたんですね。
お体どうかお自愛ください。

2012/06/01 (Fri) 18:15 | EDIT | REPLY |   
俊樹  
Re: タイトルなし

ありがとうございます。
2回目の心臓手術でした。
わたしにはどうも幸運の女神がついているようです。

> こんばんは。
> 先日はコメントをありがとうございました。
> 奇跡が起きたんですね。
> お体どうかお自愛ください。

2012/06/01 (Fri) 19:38 | EDIT | REPLY |   
二階堂 新  
我、悠々として生き急がん

 小生、昨年市内の病院に1週間入院し、56歳にして持病
の手術を致しました。   
 「余命一年」の宣告とは、まさに真剣を眼前に突きつけられたも同じ。しかし同時に、一年も一日もそして一生も、時間の差こそあれ、同じ人の生。  
 故に、我、悠々としてわが人生を生き急がん。 

2012/06/04 (Mon) 18:36 | EDIT | REPLY |   
俊樹  
Re: 我、悠々として生き急がん

平成元年に受けた手術は2回目だったので、かなり執刀医も苦労したようです。
オペ中に心筋梗塞を起こし危なかったようです。

>  小生、昨年市内の病院に1週間入院し、56歳にして持病
> の手術を致しました。   
>  「余命一年」の宣告とは、まさに真剣を眼前に突きつけられたも同じ。しかし同時に、一年も一日もそして一生も、時間の差こそあれ、同じ人の生。  
>  故に、我、悠々としてわが人生を生き急がん。 

2012/06/04 (Mon) 22:26 | EDIT | REPLY |   
BAAT  
お体、ご自愛くださいネ。

僕みたいな、なんの不自由もなく今までのほほんと生きてきた人間に言われたくないと思いますが…

神様は、その試練を乗り越えられる力のある人だけに【試練を与える】。という前向きな考えを聞いた事があります。

僕は今、無職という試練(?)を神様から与えられていますが、乗り越えるどころか今までの自分を飛び越してやろうと思っています。

俊樹さんに比べると、試練の質はとんでもなく軽くなってしまいますが(汗)…お互い人生を楽しみましょう!

2012/07/17 (Tue) 13:33 | EDIT | REPLY |   
俊樹  
Re: お体、ご自愛くださいネ。

> 僕みたいな、なんの不自由もなく今までのほほんと生きてきた人間に言われたくないと思いますが…
>
> 神様は、その試練を乗り越えられる力のある人だけに【試練を与える】。という前向きな考えを聞いた事があります。
>
> 僕は今、無職という試練(?)を神様から与えられていますが、乗り越えるどころか今までの自分を飛び越してやろうと思っています。
>
> 俊樹さんに比べると、試練の質はとんでもなく軽くなってしまいますが(汗)…お互い人生を楽しみましょう!

わたしは病気を楽しんでおりますよ。
だから多分長生きすると思います。

2012/07/17 (Tue) 16:52 | EDIT | REPLY |   
witman  

すごいドラマですね。すべてのことに意味があると思います。絶対に長生きしてください。100まで生きると体の全細胞にそう言い聞かせてください。

2012/07/21 (Sat) 18:10 | EDIT | REPLY |   
俊樹  
Re: タイトルなし

> すごいドラマですね。すべてのことに意味があると思います。絶対に長生きしてください。100まで生きると体の全細胞にそう言い聞かせてください。

心臓に入った機械弁の寿命が200年とか…そこまで長く生きられないですが^^

2012/07/21 (Sat) 19:07 | EDIT | REPLY |   
ペットシッターピュア  
ご訪問ありがとうございます。

同じような人がいるものだと驚きました。
私の息子は、21歳の時に横行結腸癌になる余命宣告されて3回目の手術で人工肛門となりました。
等々、先月27歳の誕生日を迎えました。
21歳で余命1年、23歳で25歳まで生きることが出来ない!25歳で残り1年・・・。
医者の話が信じられなくなりました。
結局、命なんて例え医者であっても量ることは出来ないんだと知りました。
今年の初めに26歳でハンデのある女性ではありますが無事に結婚しました。
この先、4回目の手術をするかも知れない。
どこまで生きるか、生かされるかわかりませんが。
それでも、寿命が来るまで息子は生きて行きます。
ある意味、命の重さを知った子です。

2012/07/27 (Fri) 21:55 | EDIT | REPLY |   
俊樹  
Re: ご訪問ありがとうございます。

あいがとうございます。
わたしも3回目の手術がチラホラ目につきますが、
主治医が恐がってメスを握ってくれません。
寿命は自分で決めるものだとわたしは思ってこれまで生きてきました。
その生き方はこれからも変わらないでしょう。
お互いに頑張りましょうね。

> 同じような人がいるものだと驚きました。
> 私の息子は、21歳の時に横行結腸癌になる余命宣告されて3回目の手術で人工肛門となりました。
> 等々、先月27歳の誕生日を迎えました。
> 21歳で余命1年、23歳で25歳まで生きることが出来ない!25歳で残り1年・・・。
> 医者の話が信じられなくなりました。
> 結局、命なんて例え医者であっても量ることは出来ないんだと知りました。
> 今年の初めに26歳でハンデのある女性ではありますが無事に結婚しました。
> この先、4回目の手術をするかも知れない。
> どこまで生きるか、生かされるかわかりませんが。
> それでも、寿命が来るまで息子は生きて行きます。
> ある意味、命の重さを知った子です。

2012/07/28 (Sat) 09:00 | EDIT | REPLY |   

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