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高橋克也のリアル鬼ごっこ。 

漫画喫茶

 今回もまた菊地直子容疑者の時と同様に、一般人からの情報提供による逮捕だった。6月15日、午前9時を少し過ぎた頃だった。
 場所は大田区西蒲田、運河沿いに立ち並ぶ雑居ビルの一角にある『漫画喫茶』がその舞台。店から出た高橋容疑者を警官が追い掛け、職務質問をした。「高橋克也の捜査をしているので、協力してくれますか」、「はい、わたしが高橋克也です」。
 その逮捕劇は映画に出て来るような劇的なエンディングではなく、ある種の静けささえ漂わせた幕切れであった。
 何の抵抗を示す事もなく、その落ち着き払った表情からは一種の安堵感すらにじませていた。彼は逮捕される事を前もって覚悟していたのであろうか。
 潜伏先の川崎から東京方面へと場所を転々としながら、個室ビデオ店などで寝泊まりし、都会の雑踏に紛れ込み、自分を擬態化させる機会を窺っていたのかも知れない。
 17年間に及ぶ逃亡生活の中で、『高橋克也』を自分の中で黙殺し、他人になりすます。彼のリアルな鬼ごっこは、時の流れの中で風化し続ける筈であった。
 彼自らが語っているように、「本当の自分が分からなくなってしまった」は、長い逃亡生活が彼に与えた自己否定の心理を垣間見せているとも受け取れる。
 慣れ親しんだ『櫻井信哉』の偽名の方が彼にとってはリアルそのものであったであろう。最近では『吉田新一』の偽名で変装用の眼鏡を購入したり、鶴見駅のコインロッカーから押収されたバッグの中からは『吉田利美』名義の預金通帳が発見されている。
 更に、松本智津夫死刑囚の写真数枚や、教団関連の書物、松本死刑囚の著書『イニシエーション』などが発見されおり、逃走から17年経った今でも教団を信仰していることがうかがえる。
 それを裏付けるように見つかった『説法を録音したテープ』の存在や、赤坂警察署の留置施設内で、『蓮華座(れんげざ)』を組んでいる事などからしても、高橋容疑者は依然としてオウム真理教の強い影響下にある事を物語っている。
 逃亡犯が全て逮捕され一旦は終了しているオウム裁判は、これを機会にまた新たな展開を見せる事になると思われるが、17年間も逃亡を許してしまった警視庁の在り方も今後問われる事になるであろう。
 更に言えば、地下鉄サリン事件は防げた可能性すらある。数多くの証拠を掴みながらも、極めて危険な団体にテロ行為を許してしまった時点で警察の負けであったと言えるだろう。
 それゆえに今回の逮捕劇ではこれまでの秘密主義を捨て、警察はなりふり構わず情報を表面化し、懸賞金を吊り上げてまで彼らの逮捕に全力を上げ、国民の興味と眼を味方につけて公開捜査に踏み切ったのである。
 それは過去の失敗を帳消しにする意図さえ見受けられた。「報道に追い込まれた」と高橋容疑者自身が語っているように、マスメディアも全力で彼の行方を追ったのである。
 逃げる背中に突き刺さる痛い程の視線を浴びながら、それを振り切るように土地勘のある場所から離れる事がなかった高橋容疑者、離れたくても離れられないほどに、彼の包囲網は狭まって行ったのである。
 時を同じくしてこの事件とは対照的だったのが、『東電OL殺人事件』で、無期懲役刑が確定し服役中であったネパール人の『ゴビンダ・ブラサド・マイナリ』元受刑者に対する再審が決定し、刑の執行が停止されその後、母国に帰国した件であるが、約15年に渡り拘置所に幽閉されながらも、無実を訴え続けた彼とその家族、そしてネパールで彼を出迎えた人々の嬉しそうな表情を見ていると、『冤罪』と言う犯罪にはつきものの『魔』を抱かずにはいられない。
 証拠を巡って裁判が二転三転するその背景に見え隠れする権力と言う暴力が存在するのも事実である。
 地下鉄サリン事件を風化させてしまった警察やマスコミも含め、わたしたちがいま出来る事はなんであろうか?
 オウム真理教は名を変え、今でも活動中である。『アレフ』、そしてそこから枝分かれした『ひかりの輪』…。
 新たな信者が毎年増え続けているという現実、景気低迷と雇用不安、将来に希望を見出せない若者たちが心の拠り所を求めて彷徨い歩く病んだ社会に巣食う暗闇、事件・事故はその社会を映す鏡でもある。
 今回の逮捕では防犯カメラの映像が大いに役立っているが然し、防犯と言えば聞こえはよいが、要は監視カメラである。
 個人情報保護を強く訴えるその一方で、わたしたちのプライベートが監視カメラの存在によって筒抜けになっている事も忘れてはならないだろう。

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コメント

コメントありがとうございます。
高橋容疑者は、教団関係の物をまだ大事に持っていたんですね。信仰心は呪縛なのでしょうか。17年、名前を変えて生活していたなかで、彼を変えるべき出来事は、何も起こらなかったのでしょうかね。
そもそもオウムに出会ってしまったことが、彼の不幸だということを、彼自身は気づいてないのでしょうか。

#- | URL | 2012/06/17 19:38 * edit *

Re: タイトルなし

宗教の怖さを改めて思い知らされた感じですが、信仰の自由というものがあるので、何とも言えませんが、
善悪の判断だけは出来るようにしておきたいですね。

> コメントありがとうございます。
> 高橋容疑者は、教団関係の物をまだ大事に持っていたんですね。信仰心は呪縛なのでしょうか。17年、名前を変えて生活していたなかで、彼を変えるべき出来事は、何も起こらなかったのでしょうかね。
> そもそもオウムに出会ってしまったことが、彼の不幸だということを、彼自身は気づいてないのでしょうか。

俊樹 #- | URL | 2012/06/17 20:09 * edit *

高橋克也容疑者逮捕について

高橋容疑者も約10日間よく逃げられましたよね、あれだけ包囲網が張られているにも関わらず。
僕が思うことはただ1つ。地下鉄サリン事件は風化させてはいけない事件ですよね。

キママタロウ #- | URL | 2012/06/17 20:40 * edit *

Re: 高橋克也容疑者逮捕について

自力では解決出来ないと悟った警察。
他の事件にもこのくらい情熱を傾けて欲しいですね。
> 高橋容疑者も約10日間よく逃げられましたよね、あれだけ包囲網が張られているにも関わらず。
> 僕が思うことはただ1つ。地下鉄サリン事件は風化させてはいけない事件ですよね。

俊樹 #- | URL | 2012/06/17 22:33 * edit *

ブロとも紹介、アップしました

 多忙のため遅くなりましたが、本日私のブログにリンク設定し、「ブロとも紹介」の記事をアップしました。ご笑覧を(笑)コメントありがとうございました。   
 2012年初夏、天下動乱ですね。

二階堂 新 #- | URL | 2012/06/19 23:13 * edit *

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