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ビーチサイドの人魚姫

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父に捧げるレクイエム。

深まる秋がこの蒼い空一杯に拡がりあなたの散ったあの日を僕はいつもあの時のままで想い出すたなびく煙は風に乗りあなたの魂を高い高い空へと連れて行く悔しさと海のように深い悲しみを苦し紛れの笑顔で隠しわずか42年の生きざまを18歳の少年に凡て託してこの世を去った煽った酒の数だけ涙を流し酔えば酔うほど母の面影が募ったのでしょうね幼い僕は母に似ていつもあなたを悩ませただから酒にまみれて自分を誤魔化して来たので...
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ひとりかくれんぼ(不登校の頃に)。

見つけてくれる鬼のいない街外れの小さな公園で僕はいつもひとりかくれんぼもういいかい まあだだよそれを何度も繰り返す遠くで下校時間のチャイムがキンコンカン終わりの見えないひとりかくれんぼ僕はいつまでたっても帰れない――...
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点滴の流れる音に。

点滴の流れる音に耳を澄ましてごらんほら 聞こえてくるよポトン ポトン一滴ずつ 確実に命に 栄養を与えているポトン ポトンほら 見てごらん命が 少しずつ膨らんでいくのを※入院中ではありません(^_^;)...
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僕の卒業式(未刊詩集より抜粋)。

遠くで桜の花びらが舞っていたその下で春の木漏れ日あびながら笑顔にあふれた卒業写真僕は 一人病室でベッドの温もり 抱きしめた近くて近くて 遠い春僕の卒業式はまだ 来ない※天竜養護学校の桜と恩師と後輩たち(1971年4月頃)。...
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埋葬(オカメインコのクックに捧げる)。

夜が深い悲しみを連れて降りて来たやがて訪れる明日が君にはもう来ない冷たい君と悲しみを土に帰す時が来るもう二度と大空へ羽ばたかない羽根は硬く閉じたまま黒い瞳はもう見えない君を呼んでももう応えてはくれないのだ家族が一人永遠にいなくなるわずかな日々を思い出と一緒に土に帰す...
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この病室の窓から。

この病室の窓から踊る君の姿を眺めていた明るい空の下で快活に飛び跳ねる若き命の塊よ脈打つ心臓は明日の未来を夢見ているかその笑顔は純粋な心を育むエネルギーになっているか若く明るい健全な魂よその場所から化石のように病んだこの身体が見えるだろうかくすぶった灰色の空のような悲しみを握りしめてこの病室の窓から放り投げている私の姿が――...
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カルテ(未刊詩集・風のカルテより)。

診察室で主治医がデータを黙々と書き込んでいく最初は一枚の薄いペラペラの紙切れがいつのまにか年輪を重ねた樹木のように育っている私の カルテ過去の傷が積み上げられて今の私を育てて来たのです※病院外来での検査結果が思わしくなく、立ち直るのに時間が掛かってしまいましたが、何とか復帰致しました。心配をお掛けした事をお詫び致します。...
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君のいた夏。

手すりをよじ登ると君の痕跡があった空を掴むためにここを登ったの?そうじゃないよね君は生まれ変わりたかったただそれだけのこと夏はもう終わったけれど君のいた夏は永遠に終わらない ※病気を苦に自ら命を絶ってしまった友人に捧げた鎮魂歌。 初掲載:2012年9月29日 午前0時32分17秒。...
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あなたへ(亡き母に捧げる)。

あなたの胸に抱かれて眠ってみたい豊かな乳房を抱えたあなたのかぐわしい香りに包まれて途切れぬ夢の中で戯れて幸せなひと時をたっぷりと味わってみたいこの世で叶わぬ想いをこの詩に託して天国の何処かにいるあなたへ届けと思いながら僕はあなたの乳房を吸ったのですか?あなたは僕を抱きしめたのですか?※9月8日は母「雪子」の命日。福島の地で自ら命を絶った。享年28歳。...
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天国の涙(未刊詩集より抜粋)。

空が涙の池になりそこに笹舟を浮かべて遊ぶのですおまえの小さな魂乗せてふーっふーっと吹いてさあ天国の涙で出来た池の周りを一周しておいでそうしてまた我が家に戻って来ておくれ ※飼っていたオカメインコの『クック』が医療ミスで落鳥した時、娘から『クック』の為に詩を書いて欲しいと頼まれ、その場で即興的に書き上げた作品。 広島の土砂災害で犠牲になった方々のご冥福をお祈り申し上げます。 初掲載:2012年7月1...
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最後の合図。

この街の少し先に君の家があったね今は家族の残り香だけで来る人を拒み始めて佇んでいるもう 帰る場所がないんだね行く当てのない子猫のようにビルの林で迷子になる戻れない時間と消えてしまった約束の中で僕は君に最後の合図を送った...
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懺悔の雨。

空が思い切り泣いている枯れた少年の心がひび割れて砂漠の中に立ち尽くす母の涙が雨になり懺悔の雨が降り注ぐ降っても降っても少年の心の乾きは癒せないてるてる坊主が軒下で雨が止むのを待っていた少年の変わりにずぶ濡れのてるてる坊主が待っていた※2007年3月、千葉県市川市で起きた『英国人女性殺害事件』で逮捕された市橋達也容疑者をモチーフとして書き上げた詩。市橋受刑者は現在、無期懲役の刑に服しているが、獄中で...
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池の主(未刊詩集より抜粋)。

蓮華寺池で釣りを楽しんでいた大物が釣れるといいなだけどこの松の木の下はまずいだろうこの松の木に登って池に落ちて死んだ子がいるんだぜいやあ 大丈夫さ蓮華寺池には昔から主が棲んでいる大きな白い鯉だ僕はこの目で見たことがある水面をすれすれに泳ぐ姿をねたぶんその死んだ子は池の主が救ってくれたのさ ※私の故郷、藤枝市にある大きな池。空から眺めると金魚の形をしている。子どもの頃、この池で釣りを楽しんだり探検ご...
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母の日には冷たい涙の雨が降る。

担任の先生は言いましたお母さんの顔を描きましょう赤いカーネーションを持って来なさいだから僕は隣のおばさんの顔と白いカーネーションだから母の日には空から冷たい涙の雨が降るきっと空で母が泣いているんだねごめんね ごめんね と謝っているんだね...
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裸足の少女(鎮魂歌)。

パタ パタ パタパタ パタ パタ裸足の少女が駆け回る失くした靴を追いかけて一心不乱に探してる春まだ遠い川の底光も射さぬ底のそこ冷たい 冷たいその底で失くした靴が泣いている裸足のままでは行けない所雲の上のそのまた上にかあさんくれた大事な靴と一緒に天に昇るまでパタ パタ パタパタ パタ パタ少女の足音だけがこだまするパタ パタ パタパタ パタ パタ※2011年3月、熊本市内で起こった「わいせつ致死・死体遺棄事件」で...
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折れたクレヨン(鎮魂歌)追記あり。

一本のクレヨンが折れた音も立てずひっそりと山深く名も無きその谷に吹き渡る風は震えて眠り月夜が照らす岩肌は氷のように冷たかろう闇の雫が滴り落ちるその底で君はもう二度と絵筆を握らない涙で滲んだクレヨンが空を悲しみの色に染めるだけで...
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砂漠の公園(未刊詩集より抜粋)。

夕陽が溶け込む砂漠の公園で少年が独りブランコに揺れていた影は何処までも長く待ちくたびれて飛ばしたズックは砂に埋もれて戻らない置き去りにされた悲しみを揺れるブランコがなだめても砂漠を抱いた少年の心の乾きは癒せない...
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父の死んだその日(詩集・天国の地図より抜粋「命日に寄せて」)。

父の死んだその日僕は独りになった秋晴れの空は冬が間近いことを知っているらしく冷たい北風を屋根の上に低く滑らせている父の身体を取り囲む人達の顔がみんな他人に見えて僕はいつになく身を強張らせていた枯れ木のように痩せてしまった父の腕や肩がすっかり僕を蒼白く悲しませた顔は浮腫んで腫れあがり唇は蒼く苦しかっただろうに辛かっただろうにそれなのに優しい微笑みさえ浮かべているような父の静かな寝顔きっとあの世で母に...
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翼を持った少年(鎮魂歌)追記あり。

空に一番近いこの場所で少年は想っていたボクの見詰める視線の先はこの汚れた地上でなく何処までも自由が広がるこの青い空だったこの澄み切った空にはボクが抱える苦しみや悲しみは存在しないだろうとだからこの空の一部になりたかった翼を持った少年は自由を求めて空高く舞い上がった...
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白いチョーク(未刊詩集より抜粋)追記あり。

教室であなたは土屋に向かって白いチョークを投げましたねそれが土屋の額に当たりあなたは目を丸くして驚いていました当てようと思って投げた訳ではない白いチョークがものの見事に当たってしまいその後の苦笑いが今でも忘れられません青春ドラマを地で行くあなたはかっこよかった鍛えられた見事な肉体を白衣に包みわたしたちは皆あなたの健康体に憧れていましたなのにあなたはわたしたちより先に逝ってしまった白衣をなびかせ天使...
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