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Category小説 1/1

小説・届かなかった僕の歌(番外編)あとがき公開。

  届かなかった僕の歌(番外編)は本編である『届かなかった僕の歌(三部作)』の青春編として執筆を始めたが、話しの展開として父・信夫についての記述が増えて来たため、番外編として新たに書き始めた。三部作の(幼少編)と被る部分も多少あるが、その大部分は信夫を中心とした実話を元に脚色している。  酒と自尊心によって自ら寿命を縮めてしまった父。多くの人は「太く短く」「自業自得」と語るが、私の知る限り父が胸の...

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初めての旅は府中刑務所だった(再編集版)。

 私が初めて東京に行ったのは小学4年生の時だった。その頃はまだ新幹線も開通していなかったので伯父に連れられて東海道線の長い汽車の旅を経験した。行き先は東京の郊外にある府中刑務所。父が服役している場所であった。日時や曜日までは思い出せないが前日に藤枝を出発し、東京に着いてから地下鉄を幾つも乗り継いだ記憶がある。 こんな暗い所を電車が走っているなんてと驚いた。東京には三郎という祖父の兄弟が住んでいるら...

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青池の大蛇伝説と長楽寺(小説「届かなかった僕の歌」より抜粋)。

 今からおよそ850年ほど前の話しである。仁安(六条天皇の朝1165~)年間、旧西益津村(現在の藤枝市本町辺り)にある岡出山の麓に粉川長楽斎と言う郷士が住んでおり、弁天さまから天神さまにかけての地域を村の人々は長者屋敷と呼んでいた。 長楽斎は、仏法に帰依して信仰が厚く困っている人には必ず手を差し伸べるほど心優しく憐れみ深かったため、村の人々は「仏心長楽」、「粉川長者」などと呼び敬っていた。 長楽斎の妻...

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力道山の真実(小説「届かなかった僕の歌」幼少篇より抜粋)。

 暫く帰って来ない父の行き先は府中刑務所だった。これが五回目となる服役。父のもう一つの家でもあるような刑務所ではもう常連。所員が言った。 「あれ、あんたまた来たんかい、懲りないのう」 同部屋で一緒だったのは力道山を刺した極道「村田勝志」だった。 「俺はちんぴらだけど、あんたは凄いな」 「好きでやった訳じゃないのさ」 「どうしてやっちまったんだい?」 「正当防衛っていやあ聞こえはいいがな」 刺した相...

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