みかんの花(父と母に捧ぐ)。
みかんの花が咲いたよ
蓮華寺山のふもとから頂上に向かって続く
みかん畑の中を可愛いメジロが幾羽も飛び交って
もぎたてのみかんを口いっぱいに頬張りながら
お姫平のてっぺんに立ち
藤枝の町並みを見下ろしたっけね
あなたの肩車で更に空が近くなり
青い海のように輝く美しい空に吸い込まれて行くようだった
風がザワザワとみかん畑を渡り
一斉にみかんの白い花が宙に舞う
舞い上がったその白い花々の中に紛れて
僕もあの人のいる空に行きたかった
今年もまたみかんの花が咲いたよ
一杯一杯 空に向かって舞ったんだよ
※お姫平について…。蓮華寺池を囲むように連なる山の頂きに、富士見平(標高110m)と、お姫平(標高82m)と呼ばれている場所がある。富士見平は、室町幕府の将軍・足利義教が1432年9月(永享4年)に、富士遊覧の目的で駿府に入る途中、鬼岩寺に宿泊した際、裏山に登って富士山を見物した場所であると言われている。この時、同行していた姫が富士山を眺めた場所にお姫平と名が付いた。