夜の波止場に波音だけが木霊する。
梅雨真っ只中の7月12日。レインボーブリッジを最も間近で撮影出来るだろうと思われる芝浦ふ頭へ。この界隈には幾つも波止場があり、日中であれば複数のタグボートや貨物船、観光船が東京湾の入り口で波を蹴って走る姿を観賞出来る。隅田川方面からやって来る水上バスやお台場方面へと遊覧船などがレインボーブリッジの下を掻い潜って進む。
然し、夕暮れが訪れ一旦辺りに帳が下りるとそれまでの景色が一変する。一日の作業を終えて、波止場に佇む一隻の曳航船に「お疲れ様」とでも語り掛けるように波が当たる。それは不思議な静寂に包まれているが少し不気味な雰囲気をも醸し出している。人間に限らず動物は水辺の好きな生き物である。河や海などを見つめていると心が和み、その日のストレスも払拭してくれる。
ファインダーを覗き、レリーズのシャッターを押す。撮影した被写体が画面に現れるまでには少し時間がかかるが、この待機する作業も含めて撮影なのである。風景を撮影するならやはり超広角レンズが相応しい。このサムヤン14mmは楽天で購入した新古品。価格は4万を切る。お買い得感満載であるが、残念な所はマニュアルフォーカスくらいだろうと思うが、最近、オートフォーカスよりマニュアルフォーカスで撮る事の方が多くなって来た。夜景撮影と三脚にも随分と慣れて来て、努力こそ上達の近道だと実感している。手は抜かない、トコトン納得出来るまでシャッターを切るのみだ。